内容紹介 (Amazonから)
『おれ 明日お前に告白するわ』透吾(とおご)が幼なじみにした告白予告。しかし透吾は事故で昏睡状態に…目覚めたときには4年が経っていて!? 泣けるストーリー4編収録! 2012年1月刊。
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「はじまりのにいな」の作者さんの短編集です。「はじまりのにいな」では4巻にたいしてすこしネガティブな感想を書いてしまいましたが、決して嫌いな作者さんではありません。実際に3巻までは、読んだ後泣いてしまっていましたし。
さて、初の連載が始まる前に、20作ほど読み切りを描かれていたようで、その中からの4作が収録されています。
まずはタイトルとなっている「彼女の涙が雪だとしたら」からして反則です。これほど想像力が掻き立てられるタイトルはそうそうないと思います。物語もキーワードとなっている雪を見事に描き分けています。素晴らしいです。
「舞われ風車」も佳作です。途中まではありがちのユウレイものかと思っていましたが、最後の最後でなるほど!と思いました。
「境界線」はすこし凡作?。元ネタのほうが面白かったような気がします。
「夏が咲くころ」も少々凡作気味。携帯持っていたら、電話してくるよなとか、代わりにきた先生が知っているのも、すこし御都合主義的。
と、ここまで読んで感じましたのが、物語の起承転結がはっきりしているので、話の良さがアイディアに依存してしているということでした。つまり構成は上手なので、核となるアイディアが普遍的であるほど、エンターテイメントとしてはすこしつまらないものになってしまう気がします。
そういう意味で「はじまりのにいな」の1巻、「彼女の涙が雪だとしたら」はアイディアが秀逸だったので、非常に面白い話でした。編集のかたに「続きもの」をと言われたのは、理解できる気がします。
次作も楽しみにしている作家さんです。
白泉社 (2012-01-20)