Artist : Paul McCartney
Date : 2002-11-11
Location: Tokyo, Japan
Venue : Tokyo Dome
label : Ultra Zone
Source : AUD
Quality : EX+
Setlist:
Disc 1
01. Opening Show
02. Hello Goodbye
03. Jet
04. All My Loving
05. Getting Better
06. Coming Up
07. Let Me Roll It
08. Lonely Road
09. Driving Rain
10. Your Loving Flame
11. Blackbird
12. Every Night
13. We Can Work It Out
14. You Never Give Me Your Money - Carry That Weight
15. The Fool On The Hill
16. Here Today
17. Something
18. Eleanor Rigby
19. Here, There And Everywhere
20. Michelle
Disc 2
01. Band On The Run
02. Back In The USSR
03. Maybe I'm Amazed
04. Let' Em In
05. My Love
06. She's Leaving Home
07. Can't Buy Me Love
08. Live And Let Die
09. Let It Be
10. Hey Jude
11. The Long And Winding Road
12. Lady Madonna
13. I Saw Her Standing There
14. Yesterday
15. Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band (Reprise) / The End
Paul McCartney 2002年の一日目です。このときは贅沢にも東京3日間すべてのライブを見に行きました。最終日は会場入りするPaulを目の前1m先で見ることが出来ました。
そのときの文章が残っていたので、載せてみます。感想は初日しか書かれていませんでした。全部の日を書いたつもりだったんですが、どこに行ったのか今となっては不明です…。勿体ない。
ちなみにこの音源は思い入れも込みで、素晴らしい音質です。"Live And Let Die"でのマグネシウム大爆発は大音量で聴いてください。
Paul McCartney Driving JAPAN 2002
朝、いつもより30分ほど遅く目が覚めた。あわててベッドから飛び降り、バッグのなかにチケットがあることを確認する。さて、チケットさえ忘れなければ、なんとかなるさ。長年夢見ていたことが、今晩現実に変わるんだ。あわてる必要なんてない。
最初の来日は1990年。まだ中学3年生だった。ライブの翌日は高校進学に影響がある大切な試験だった。1990年3月9日 アリーナB15 171番。今思うと、決して悪い席じゃない。ただ背の低い中坊に、ステージは遠すぎた。
二回目は1993年。1991年にはGeorge Harrison with Eric Claptonを見ていたので、思いがけない来日だったことをよく覚えている。浪人で肩身の狭い思いをしていた時だった。1993年11月14日 アリーナE8 142番。アリーナの最後尾から見るステージは確かに遠かった。
何度も同じライブを見ることがあるなんて、その時は思わなかった。金銭的に余裕もなければ、ライブをおおっぴらに見に行ける立場でもなかった。だから強く思った。もし、仮に、次回来日してくれたら、可能な限り見に行こうと。
そして、強く思い、願ったことがとうとう叶う。東京3日間。全てのチケットが手に入ったのだ。
まずは初日だ。あせらずに行こう。
Paul McCartney 2002/11/11 Tokyo Dome
東京ドームに午後3時頃着く。会場が午後5時予定だから、かなり早い時間だ。早い時間に会場に着くと言うことは、自分にとって儀式みたいなものだ。とくに意味はない。強いて意味づけをするのであれば、ライブが始まる前の雰囲気を楽しみたい、と言ったところか。会場についてすぐにライブ開始じゃ、あまりにも味気ない。
あともう一つ。本番前のサウンドチェックが会場の外に漏れて聞こえてくることを期待して。午後4時30分くらい、会場の中からエコーとディレイに包まれた音が聞こえてきた。10曲弱くらい、聞こえてきただろうか。曲名を判別しようとしたが、"C Moon"しかわからなかった。ずいぶんと遅くからサウンドチェックを始めたな、と思ってたら、予想通り開場が遅れた。もう9年も待ったのだから、1時間でも2時間でもいくらでも待ってやる。
午後6時過ぎ、ロビーまで開場するというので、やっとドームの中に入る。早速パンフレットとビールを買う。アリーナ入り口ではサイリューム(折ると中の液体が混合して光やつ)をもらう。後で知るが、5000本限定だったらしい。ビールを飲みつつ、パンフレットを読む。初来日のパンフレットもそうだったが、徹底的に日本語に訳されている。まぁ良いけどね…。午後7時過ぎ当たり。予定では開演時間。このあたりからトイレに行きたくなる…。午後7時15分。ええい、PreShowの始まりは見られなくても仕方がない。席を立ち、トイレに走る。おおっ!入り口に古き良き時代のヨーロッパ風な派手な格好をした女の人が!あわてて、用を済まし、グラウンドに入ろうとすると、門が閉じられるところ。なんとか間に合ったらしい。
息を切らしながら、自分の席に着く。息が落ち着くまもなく、会場がざわめき出す。そのざわめきにあわせるかのように、PreShowを演じる人が客席に現れる。当然自分が見た女の人も出てくる。PreShowが行われると言うことを知らない人は、いったい何がおこりだすのか不思議だったろう。PreShowの存在を知っていた私も不思議な雰囲気に取り込まれはじめ、とうとうPaul McCartneyのLiveが始まるのだ、と言うことを急に実感し、涙腺がゆるみ始めていた。
PreShowは正直言って、何を意味しているのか理解できなかった。なにか国ごとにテーマを持ち、それに沿ってShowが行われているらしいというのが、かろうじてわかったくらいだ。しかし意味がわからなければ、そこで行われていることを楽しめばいい。実際、Show自体は動きもあったし、変化もあり、ミステリアスな雰囲気は十二分に楽しめた。箱女は驚いたし、青龍刀の殺陣は迫力があった。そんな風に楽しんでいると、ギターのコードが轟音で鳴り響く。その瞬間、ステージの真っ白なスクリーンにヘフナー500/1の大きなシルエット。そして、両手をあげたPaul McCartney のシルエットが!
信じられないような大歓声が起こった。その大歓声に自分の声で参加できたことをうれしく思った。
歓声とも怒号とも、悲鳴とも受け取れる声の中、曲が始まった。"Hello Goodbye"だ。どうしよう。この気持ちをどう表現していいのか、わからない。気がつけば、涙が流れていた。まさかライブで泣くとは思わなかった。さっと、手で涙をぬぐった。泣いている暇はないんだ。Paul McCartneyのライブを見に来たんだ。"Hello Goodbye"を演奏してるんだ。一瞬たりとも見逃すものか。
あっという間に"Hello Goodbye"が終わる。間髪入れずに2曲目。"Jet"が始まる。1990年のライブでは悲しいくらい、声が出ていなかった曲だ。今回は大丈夫だろうか。イントロがなっている間、思ってしまった。そんな心配は杞憂だった。最初の"JET !!"の歌を聴いたとき、鳥肌が立っていた。本当に60歳の人の声なのだろか。すばらしすぎる。ブンブンベースを弾きながら、全盛期さながらの声で歌っているのだ。しかも目の前で!もうなにだなんだか、わからないくらい興奮していた。途中でPaulのおばさんがよくやるような手の仕草もおもしろい。ただ、間奏のシンセ。Lindaが弾いていないと言う事実が悲しかった。
��曲目"All My Loving"。1993年のライブではかなりテンポが遅くて、がっかりした記憶が有るこの曲。今回はBeatles時代のLiveとは比べものにならいが、前回よりは速いテンポだった。良かった。本当に良かった。
そして、"Getting Better"! うれしすぎるこの曲で、Paulはヘフナーから、レス・ポールに持ち替えた。そうだよな、あのベースラインを弾きながら、歌うのは無理だろうな。妙に納得。そして、そして大好きな"Coming Up"。ツアーごとに微妙に違うアレンジだが、今回は一番ストレートなRockしているアレンジで、非常に好きだ。Paulもよく声が出ている。
2002年4月のアメリカツアーのブートレグで聴く声より、出ているような気がする。
��曲続けて、アップテンポな曲が続く。観客の盛り上がりを押さえるためなのだろうか。"Let Me Roll It"。やっとWingsの曲だ。前回の来日の時に聴いたときは、なんかいまいちなじめなかったが、途中のブレイクがなんとも心地よい。
やっと、やっとのNew Album、"DRIVING RAIN"からの選曲。最近にしては珍しく詰めの甘いアルバムだったけれども、好きな曲を全て演奏してくれた! "Lonely Road"、"Driving Rain"、"Your Loving Flame"だ。とくに"Your Loving Flame"はライブ映えする曲だ。"May'be I'm Amazed"と双璧をなすくらい好きな曲になった。新曲は盛り上がらないかな、と不安だったが、それはアリーナ前方。かなり盛り上がっていた!
ここで、メンバーがいったんステージから去り、Paul一人、アコースティックギターを持ち歌い始める。若い黒人女性のことを歌った歌。誰だよ、「人権問題」なんて難しい日本語Paulに教えたの。シリアスな曲紹介を聞いていたのに、思わず軽く吹き出したよ。曲は当然"Black Bird"。いつだか聞いた悲しいくらいに声が出ていない"Black Bird"をふと思い出す。アルバム"DRIVING RAIN"レコーディング中は全く声が出ていなかったという反省?か、本当によく声が出ている。
間髪入れずに"Every Night"。ソロのバラードでは一番好きな曲だ。なんてってったて切ないメロディーがたまらない。アコースティックパートが始まる前に、Paulと観客しかいないんだ、と言っていたが、自分とPaulの距離さえ考えなければ、いや、その距離さえも忘れてしまうほど、密接な空間がそこにはあった。自分の隣で、ギターを弾き語ってくれるのに、耳を澄ます。きっとみんなそう感じていたに違いない。東京ドームに響いていた音は、ギターと歌だけだった。
歌とギターを堪能した後は、"We Can Work It Out"。一瞬ワルツのリズムになるところもたまらないが、ギターのカッティングもたまらない。屈強な野郎が前回のツアーでも使用していたマジックピアノを運んでくる。唯一ほんの少しの不満を感じたと言えば、"You Never Give Me Your Money~Carry That Weight"のメドレー。どうにもエレピの音がなじめなかった。レコードでのピアノの音が強烈に残っていたのだ。どうせやるならABBEY ROADのB面メドレーをやってくれととも思う。引き続き、エレピで"Fool On The Hill"。バンドヴァージョンもいいが、これはエレピの音が合っていた。
そして今回のライブのハイライトとも言って良いだろう。Johnへの追悼の曲"Here Today"。ここでも日本語での曲紹介があった。「ジョンとの対話」。意味はあっているのだけれども、微妙に英語との曲紹介とのつながりが悪い。いやいや、ここは英語圏でない日本人へのファンサービスだ。それにしても、この曲を聴くと自分でさえ、Johnへの思いがあふれてしまうのに、毎回歌うPaulはどんな気持ちで歌っているのだろう。
引き続き、Paul一人でウクレレを持ち出し、Georgeの"Something"を歌う。すこしテンポアップしたアレンジだが、かなりもの寂しげな雰囲気だ。そんなPaulの雰囲気を励ますかのような観客の手拍子がうれしく感じる。でも、後ろで歌っていた人。はっきり言って邪魔。ちょっとは我慢して欲しかった。
ツアーの曲目は頭の中にたたき込んであるし、2002年4月24日ワシントンDCでのブートを持っている。自分の中で、新鮮味を感じることが出来ないかな、と不安を持っていた。実際、ここまでは正直言って、もったいないことだが予定調和なものを感じていた。しかし、Paul一人のアコースティックセクションが終わり、メンバーが増えた"Eleanor Rigby"でなぜだか盛り上がりはじめ、Beatles ナンバーで一番好きなバラード、"Here, There And Everywhere"で頭に入っていた曲目は吹っ飛んでしまった。「フランスに行こうか!」の"Michelle"では以前行ったフランスのことを思い出していた。
そして、予定調和だろうが、いつもと同じ曲だろうが、再びバンドセットにもどり、怒濤のライブ後半に入った。
まずは"Band On The Run"。実はあまり好きな曲ではなかった。REMASTERされる前に持っていたいCDが、初めてCD化されたときのもの(消費税導入前!!)で、音質があまり良くなかったこともあり、聞き込んでいないCDでもあったし、何となくプログレを感じる演奏になじめなかったと言うこともある。しかししかし。ハードで、メリハリのある今回の演奏を聴いて、そんな気持ちはきれいさっぱりなくなった。特にセカンドパートはすばらしかった。なんで今まで好きではなかったんだろう。家に着いたらREMASTER盤を聞き返さないと…。
そんな盛り上がった気持ちを、さらにさらに盛り上げた曲。"Back In The U.S.S.R "。"Band On The Run"とは違い、いつ聞いても好きな曲。さびの"back in the us. back in the us. back in the U.S.S.R"ではアリーナ全体で拳を振り上げる。もうこの曲あたりで、なにがなんだかわからない興奮状態におちいっていた。
ヒートアップした観客を落ち着かせるためか、すこしスローな"May'be I'm Amazed"へ。たまらん。もう、本当にたまらない。1990年のツアーでは、セットリストから外された曲。やっと、やっと生で聴けた。しかも迫力たっぷりな歌声で。もうどうにでもしてくれ。
そして、予想外の選曲。"Let 'Em In"。1990年のツアーでも日本だけ(日本からだっけ?)セットリストに追加された曲。今回のツアーでも日本のため?の特別の選曲だ。何とも言えないふんわりとしたメロディーに、「みんな中においでよ」といういかにもPaulらしい歌詞。聴いている時、なぜだか亡くなった伯父のことを思い出して、涙が次から次へと流れ落ちていた。みんな、おいでよ、と呼びかけても、亡くなった人は来てくれない。悲しいけれど、それが現実なのだ。
そんな気持ちを引きずりながら、Lindaに捧げる、といって始まった"My Love"。甘く切ないバラード。煽情的なヴォーカル。それに答えるかのようなギターソロ。どうしても「甘い」という印象が強いこの曲だが、実は非常にハードだ。すばらしいバンドでのバラード。
このツアーでやるのが最初だ、という曲紹介の後、これまた予想外な曲。"She's Leaving Home"。アルバム"Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band"からの曲。ライブで演奏しない、という前提で作成されたはずのアルバムからの曲。技術の進歩によって、演奏が可能になったとはいえ、今までのライブも含め、このアルバムからの選曲は非常に多いと思う。演奏していないのは残り2曲だけか。うーん。何か意味があるのだろうか。Paulがインタビューで、みんなが聞きたいと思う曲、という基準から"She's Leaving Home"は含まれているのだろうか。うれしい選曲ではあったけれども…。
みんなが聴きたい曲の筆頭にきてもおかしくない"Can't Buy Me Love"が始まる。いつもライブだと少し歌い回しを変えるところがあり、非常にその部分が好きなのだが、今日は変えて歌っていなかった。残念!
今回のライブでの数少ないWingsの曲、"Live And Let Die"。途中のマグネシウムの爆発を今か今かと心待ちにする。爆発するタイミングがわかっていても、あの爆発の大きさにはいつも驚いてしまう。そして爆発後は手拍子、足踏み、ジャンプ!めちゃくちゃに盛り上がる。どうしようも押さえきれない興奮をPaulに伝えようとする。少しでも、その興奮が伝わっただろうか。それにしても、最後の爆発は知らなかったので、かなり驚いたぞ!
怒濤のように過ぎていったライブ後半も"Let It Be"が始まる。アリーナに入ったときにもらったサイリュームをここぞとばかりに掲げる。周りを見渡すと、アリーナ全体に幻想的な景色が広がっていた。東京ドームだと消防法かなにかの規制で、火気厳禁ということで、ライター等を掲げるとあっという間に、警備員に注意されてしまう。きっとアイドルのコンサートではポピュラーなものなのかも知れないが、これからライブでは必須アイテムになるのかも知れない。会場で販売もすればいいのに。
Paulのいつもの言葉。「次の曲の最後ではみんなに歌って欲しいんだ。」という紹介で始まった。"Hey Jude"。あれ、最後の曲って言ったかな?でも本編の最後だ。お約束だが、最後のリフレインは観客だけで、コーラスをつける。そしてPaulの指揮にあわせ、男の人だけ、女の人だけ、そして観客全員で歌う。感動の一瞬だ。観客だけでコーラスを歌っているとき、永遠にこの瞬間が続けば良いのに、と思ってしまう。レコードで聞くと、非常に長く感じるこの曲だが、あっというまに終わってしまった。
いったんPaulとバンドメンバーが全員ステージから去る。アンコールの拍手が起こるが、なぜか拍手の音が小さい。アンコールが有るのはわかっているのだろうけれどもねぇ。
日の丸を持ち、颯爽とPaulが小走りにステージに駆けてくる。ライブ開始からすでに2時間は経ってるのに、元気だ。本当に還暦を迎えた人なのだろうか。
用意されたマジックピアノに座り、"The Long And Winding Road"を歌い始める。泣き出したくなる。押さえたオーケストラの音が心地よい。もう残りわずかだよ。そんな風に感じる。
一転、派手なピアノのイントロで始まる"Lady Madonna"。この曲は1993年のライブの演奏がきっかけに好きになった曲だ。一緒に行った友人と、派手なPaulのピアノプレイに顔を合わせたことをよく覚えている。
マジックピアノから離れ、ヘフナーを受け取る。ここに来て、ヘフナーを持つと言うことはもうあの曲しかない。強烈なPaulのカウントから始まる"I Saw Her Standing There"だ!めちゃくちゃに踊りまくるアリーナ。でも手拍子はレコードと同じ。この瞬間を、この場所を、この時間を共有できてることがうれしい。9年間。きっとみんな待っていたんだろう。
アンコール3曲が終わり、またステージには誰もいなくなる。客電は着かない。まだまだライブは続くんだ。聴いていない曲は何が残っている?もうみんな聴いたような気もするし、まだまだ聴き足りないとも思う。アンコール2回目は何を演奏してくれるんだろう。
出てきたPaulはアコースティックギターを持って出てきた。そうか。一番有名な曲が残っていた。"Yesterday"だ。Beatlesの曲のなかではかなり好きな曲になってきた。ポピュラーすぎてなかなか聞き込めなかったが、普遍的な良さと同時に、不思議な雰囲気を持ったこの曲が大好きだ。Paulと一緒に歌いたくなるのを我慢し、しっとりとした演奏と歌を楽しむ。良い曲だ。本当に。
"Yesterday"が終わり、バンドメンバーが出てくる。Paulはあの虎目の美しいレスポールに持ち変える。ヴィンテージでしかもレフトハンド仕様。購入当時300万円したのもうなずけるあのレスポールだ。
「もう家に帰らないといけない時間だね。僕も家に帰らないと。」というMCに観客は「Nooooo !」と答える。すこし困った顔のPaul。なんだかほほえましい。そんな観客のノイズをバックに、曲が始まる。"Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band(Reprise)"。もうライブは終わりだ。あっという間の2時間30分。本当にPaul McCartneyのファンで良かった。心の底から思う。たとえ、数年に一度来るか来ないかのアーチストでも、今、こうやって来日してくれて、自分の前で演奏してくれている。それだけで充分過ぎるじゃないか。
そんな思いで、"Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band(Reprise)"を聴く。曲が終わる。その時、強烈なドラムソロが始まった。そう"The End"だ。心憎いこのメドレー。
AbbeyRoadB面メドレーが聴きたいとか、思っていちゃダメなのだ。Paul含む3人のギターソロが延々と続く。激しいギターソロを聴きながら、終わるその時を静かな心で待つ。終わりの合図はピアノの音だ。まだ。まだピアノは聞こえてこない。
それでも終わりはやってくる。ピアノの音だ。
あのフレーズをPaulが歌ってしまった。そう。ライブは終わった。
終わってしまったけれど、自分が受けた喜びをPaulに伝えられるように声を張りあげる。届くとは思わない。でも声を張り上げずにいられなかった。良かった。本当に良いライブだった。泣いたり、喜んだり、大声を上げたり忙しいライブだった。夢のような3時間だった。まだPaulはステージにいる。夢はまだ終わらない。
ステージから去るとき、確かにPaulは言った。「またね!」と。
そう。夢はまだ終わらない。まだ後2回。ライブを観ることが出来るんだ。夢はまだ終わらない。